「やりたいこと」を思いつきで探すのはやめてください。A(やりたいこと)は、B(痛み)とα(問い)とD(企画)と、一つの構造としてつながっています。この4つの関係が見えたとき、やりたいことは思いつきではなく必然になります。この記事で最も実務的に重要なのは、「お金が無限にあったら何がしたい?」という問いは、コーチ自身がその前提を信じていない状態で口にしても機能しない、という一点です。

シリーズ第5章「統合と出力」。対象は原則8(やりたいことと世界観)で、この体系の上昇局面の頂点にあたります。前提は原則7で統合した物語を、これから何をやるかという形に変換する回です。実行には原則1〜3(意識・姿勢・呼吸)が必要になります。


目次

  1. A・α・B・Dの4つの記号と円環の6ステップ
  2. ソウルセンテンスの作り方
  3. 魔法のステッキ|3つの制約を外して本音を引き出す
  4. コーチ自身の状態が問いの成否を決める
  5. αという専門性の源泉とソーシャルイノベーション
  6. よくある質問
  7. まとめ
  8. 参考文献

1. A・α・B・Dの4つの記号と円環の6ステップ

A・α・B・Dとは、やりたいことを見つけるためにこの体系が使う4つの記号のことで、それぞれが円環構造でつながっています。

記号 内容 形式 対応する原則
A 心のワクワク、やりたいこと、なりたい姿 宣言文 7(統合)、12(イメージ)
α 過去の経験から生まれる問いと仮説 疑問文 5、15、7
B トラウマ、問題行動、自己受容。痛みの層 出来事の記述 4〜5.5、9-B、10
D 企画、プロジェクト、ソーシャルイノベーション 実行可能な計画 9-A、14、18
β つながり、コミュニティ、教養 関係の資源 13

混同されやすい3組

最も多い混同は、αとAの混同です。「なぜ人は本音を言えないのか」(α)は一生解けない問いで、「安心して何でも言える場を作る」(A)は行動に変換できる答えです。Aは、αへの答えであり、αが特定できていないAには根拠がありません。

2つ目はAとDの混同です。Aは抽象度が高く一生変わらない一方、Dは「月1回、20人規模の対話会を開く」のように抽象度が低く、何度でも作り替えられます。一つのAに対してDは人生で何十個も作られてよく、Dの失敗はAの否定にはなりません。

3つ目はBとDの混同で、見落とされやすいものです。「自分が困ったから、同じ困りごとを解決するサービスを作る」はBとDが直結しており、αとAが飛ばされています。一見合理的ですが、αを飛ばすとその人でなければならない理由が消えます。同じ困りごとを持つ人は他にもいるからです。αは「なぜ世界はこうなっているのか」という問いの水準にあり、ここにその人固有の視点が宿ります。

円環の6つのステップ

図解

ワークは、そのままこの円環を辿る設計です。

# 問い
1 自分の痛み(B)は何か
2 そこから生まれるメンタルモデルや思い込みと、その裏返しの願いは何か
3 願いを達成するためのアクション=ソウルセンテンス(A)とその背景(α)は何か
4 それを広げていくためのアクション(企画・プロジェクト)(D)は何か
5 それが周りや社会をどう変えるのか
6 それは自分の痛みを生み出した環境をどう変えるのか

6問目が決定的です。ここが閉じたとき、その人の企画は「良いことをしている」という次元を超えて、その人でなければやる理由がない仕事になります。

閉じていない企画は、「社会のためになる」とは言えても「自分がやる理由」が説明できません。他の人がやってくれるならそれでいいと心のどこかで思っており、忙しくなると優先度が下がり、説明するとき他人の言葉を借りてしまいます。閉じた企画は「自分でなくてもいい」とは思えず、説明するときに自分の話になり、続ける理由を外部に求める必要がありません。

この円環の最大の効用は、「自分のためにやること」と「社会のためにやること」の対立が消えることです。多くの人はこの2つを対立するものと捉え、やりたいことを追求することに後ろめたさを感じます。円環が閉じると、自分の痛みを生んだ環境を変えることは、同じ痛みを持つ他者の環境を変えることでもあるとわかり、対立が消えます。これがこの体系の言う「ソーシャルイノベーション」の意味です。


2. ソウルセンテンスの作り方

ソウルセンテンスとは、Aを言語化した一文のことです。良いソウルセンテンスには5つの条件があります。

条件 理由
動詞が入っている 名詞だけでは行動に変換できない
対象が明示されている 「誰に」がないと、Dが設計できない
自分の言葉である 借り物の言葉は、非言語で伝わらない(原則1)
一文である 説明が必要なら、まだ統合されていない
Bとつながっている 根拠がないAは、困難に耐えられない

悪い例と良い例

悪い例 何が問題か 良い例
人の役に立ちたい 動詞が弱く、対象がない。誰のBともつながらない 言いたいことを言えずにいる人が、言葉を見つける場を作る
社会をよくしたい 抽象度が高すぎて、Dが設計できない 見えなくされている問題を、当事者の言葉で見えるようにする
自分らしく生きたい 他者が登場しない。アーレントの「活動」にならない 自分らしさを説明しなくていい関係を、増やす
教育を変えたい 借り物の言葉。自分のBが見えない 「できない子」と呼ばれた子が、別の物差しに出会う機会を作る

作り方の手順は、原則7で集めた素材から共通する動詞を抜き出し、暗黒期の「どうしてほしかったか」から対象を特定し、動詞+対象で一文を作り、「これは自分のBとどうつながるか」を検証するという流れです。説明が必要なら、まだ統合が足りていません。

図解

動詞を先に探すのが要点です。名詞(「教育」「福祉」「地域」)から入ると、既存のカテゴリに吸収されます。動詞(「つなぐ」「見えるようにする」「守る」「開く」「翻訳する」)から入ると、その人固有の形が出ます。


3. 魔法のステッキ|3つの制約を外して本音を引き出す

魔法のステッキとは、時間・経済・対人関係の3つの制約を外した前提で相手に問いかけ、本音のやりたいことを引き出す技法のことです。問いの形は次のとおりです。

分身が3年間すべてをやってくれるとしたら、お金が無限にあって、皆が協力してくれるとしたら、どんなことをしたい?

制約 外し方 なぜこの3つか
時間・労力 分身が3年間やってくれる 「忙しいから」という最も一般的な言い訳を無効化
経済的 お金が無限 「食えないから」という現実的な制約を無効化
対人関係 皆が協力してくれる 親やパートナーの反対を含む。最も語られにくい制約

3つ目が最も重要です。経済的制約や時間的制約は語られますが、「親が反対するから」「パートナーが理解してくれないから」は語られないまま人の選択を規定していることが多く、世代を超えた構造の再演であることもあります。

一気に3つ外すより、反応を見ながら足していくほうが機能することがあります。

段階 問い
1 「もし時間が無限にあったら?」
2 「もしお金の心配が一切なかったら?」
3 「もし、周りの誰も反対しなかったら?」
4 (それでも出ない場合)虚数へ:「存在しない挑戦として、何をやりますか」

3で急に答えが変わる人がいます。そこにその人の最大の制約があります。

なぜ制約を外すと本音が出るのか

理論的な裏づけは3つあります。

1つ目はミラクル・クエスチョンです。de ShazerとBergによる解決志向短期療法の代表技法で、「今夜眠っている間に奇跡が起きて問題がすべて解決したら、朝起きて何によってそれに気づきますか?」と問います。問題分析を経由せずに望む状態を直接describeさせることが要点で、解決した状態を先に詳細に描くと、そこに至る道筋が本人の中から出てきます。制約を外す問いは、これと同じ機能を持ちます。

2つ目は解釈レベル理論(Construal Level Theory)とは、Trope & Liberman が提唱した、心理的距離が遠いほど人は物事を抽象的・本質的に捉えるという理論のことです。

図解

心理的距離には時間的・空間的・社会的・確率的の4次元があります。たとえば確率の距離では、確実に起きることは実現可能性で考え、ありえないことは望ましさで考えます。「実現可能か」という近い視点から離れることで、手段ではなく価値の水準で考えられるようになるのが実務的な含意です。「お金が無限にあったら」という前提は確率的距離を最大化しており、ありえない前提なので実現可能性の検討が働かず、望ましさだけが出てきます。虚数(原則20-A)の「存在しない」という枠は、確率的距離をさらに無限大にします。

3つ目は実務的な理由で、制約は「やりたいこと」を偽装するという事実です。「お金がないから」「時間がないから」は本当の理由であることもありますが、恐れを覆い隠す、社会的に許容された言い訳であることも多いのです。これは原則6.7の「めんどくさい」の下に恐れがあるのと同じ構造です。

表向きの制約 下にあるかもしれない恐れ
お金がない 失敗して笑われるのが怖い
時間がない 本気でやって才能がないと分かるのが怖い
家族が反対する 一人で決める責任を負うのが怖い
経験が足りない 始めたら引き返せないのが怖い

制約を外した問いは、この言い訳を一時的に無効化します。ただし恐れを暴くのが目的ではありません。制約を外して出てきたものを見た後、本人が自分で「本当は何が引っかかっていたのか」に気づくことが目的です。


4. コーチ自身の状態が問いの成否を決める

原則8は知の原則でありながら、意識と体の原則が揃っていないと実行できません。この体系はこの場面のコーチの運用を次のように記述しています。

つまりは、前提を取っ払う。イメージや感情を整える。呼吸や姿勢。→ 魔法の前提を、自分の最高のイメージと感情で伝える(お金や人間関係や自信)→ 最高の自分の状態で引き出す。相手の理想のイメージを感じながら。

決定的な一点は、「お金が無限にあったら」という前提を、コーチ自身が信じていない状態で口にしても機能しないということです。原則1の情動伝染が働くためです。

図解

「お金が無限にあったら、と言われても……」という反応が返ってくるとき、多くの場合、問題は質問文ではなくコーチの状態です。原則3の「必殺呼吸(攻めの呼吸)」は、まさにこの場面のための技術です。波をイメージして落ち着き、相手が本当にやりたいことが見つかって形になり広がっていく感覚を映像と音楽でイメージし、それを脳内再生しながら相手のやりたいことを聞きます。これによって作られるのは「落ち着き」ではなく「期待と展開の感覚」で、それが情動伝染を通じて伝わり、相手側に「やりたいことを語ってよい」という許可が生まれます。

原則8は、知の原則でありながら、意識と体の原則が揃っていないと実行できません。姿勢と呼吸から始まるのは精神論ではなく、この場面のための準備だったということです。

もう一つの運用上の要点は、出てきたものを評価せず、実現可能性を問わずに全部出させることです。「それは面白いですね」という肯定的な評価すら注意が必要で、評価が入った瞬間に相手は「評価されるもの」を探し始めます。推奨される反応は「他には?」「もっとありますか」と量を求めることです。


5. αという専門性の源泉とソーシャルイノベーション

αとは何かを見ると、脳幹の網様体賦活系(RAS)は膨大な感覚入力の中から何を意識に上げるかを選別しています。「赤い車を探せ」と言われた途端に街中の赤い車が目に入るようになる現象がその例で、同様に、その人が抱えている問い(α)が、その人が世界から何を拾うかを決めています。

αを言語化することには二重の意味があります。過去の説明として、その人がこれまで何を拾ってきたかがわかり、未来の設計として、問いを意識的に設定し直せばこれから何を拾うかが変わります。ただし誠実な注記として、RASの説明は自己啓発の文脈でしばしば誇張されます。「思考は現実化する」の根拠として使われますが、RASが選別しているのは注意であって、現実ではありません。とはいえ「気づく数が増える」ことの実務的な効果は小さくなく、機会は認識されなければ存在しないのと同じだからです(原則13の計画的偶発性につながります)。

αはBから生まれます。痛みを経験した人は、その痛みについての問いを持ち続けます。「なぜ人は本音を言えないのか」「なぜ誰も気づいてくれないのか」「なぜ努力が報われない人がいるのか」——この問いこそが、その人固有の専門性の源泉になります。誰かに与えられたテーマではなく放っておいても考え続けてしまうテーマだから深くなり、10年考え続けたテーマには誰も追いつけません。

問い 狙い
「放っておいても考え続けてしまうことは何ですか」 αの直接抽出
「何を見ると、他の人より強く反応してしまいますか」 注意のフィルタの特定
「どんなニュースを見ると、腹が立ちますか」 侵害されている価値から逆算
「人がしていることで、どうしても納得できないことは何ですか」 仮説の裏返し

ソーシャルイノベーションという語の意味

一般に「ソーシャルイノベーション」は社会課題を新しい方法で解決する取り組みを指しますが、この体系では、自分の痛みから出発した企画が、めぐりめぐってその痛みを生み出した環境そのものを変えることを指します。つまり円環が閉じていることが要件です。

この体系に挙げられている例として、リディラバ(安部敏樹)の事例が円環の実例として読めます。社会問題をスタディツアーという形で「見えるようにする」事業は、αが「社会課題が構造的に不可視化されているのはなぜか」、Bが本人の原体験、Dが現場に人を連れていく事業にあたります。「実は週末に野球監督をしている」というディテールが記録されているのは示唆的で、その人のAは事業の中だけにあるとは限りません。コーチは肩書きの中だけでAを探してはいけないということです。クライアントの「仕事」だけを聞いていると、Aを見落とします。休日の使い方、続いている趣味、誰にも頼まれていないのにやっていること——ここにAの断片が現れます。

原則9-Aで見たレバレッジポイント(自分が提供する小さなサービス。人の思い込みや行動を変える何か)と接続すると、D(企画)とは社会の不幸ループに打ち込むレバレッジポイントです。最も効くレバレッジポイントはメンタルモデルの水準にあるため、優れた企画とは「人の思い込みを変える体験を提供するもの」だといえます。「小さな」という限定が重要で、システムの規模に見合った大きさの介入は必要ありません。適切な点に小さな力を加えれば、大きく動きます。

ワークの実施手順

ワーク①「魔法のステッキ」は、まずコーチ側が姿勢・呼吸・イメージを整え(原則1〜3)、3つの制約を外した前提を確信を持って伝え、相手の理想のイメージを感じ続けながら聞き、出てきたものを評価せず実現可能性を問わずに全部出させる、という順で行います。1を飛ばさないことが重要で、第4節の通りここが最も多い失敗です。

ワーク②「AαBDの構造を語る」は、A(やりたいこと)とα(問いと仮説)とB(痛み)とD(企画)がどうつながっているかを、自分の具体例を交えて語るものです。抽象論で語らせないことが要点で、一般論の説明になったら「あなたの場合の、その痛みは何ですか」と具体に戻します。

ワーク③「魔法のステッキで出たものと、AαBのつながりを検証する」では、ワーク①で出た「制約がなければやりたいこと」が、多くの場合、本人のBとαの直接の表現になっています。

図解

この対応を確認する作業が、「思いつき」を「必然」に変えます。やりたいことは、思いつきではなく必然であるというのが、この原則のタイトルの意味です。

なぜ企画をやらねばならないのかについて、この体系の「企画をやらないということは、自分を裏切っていることになる」という一文は、ハンナ・アーレント『人間の条件』とセットで置かれています。

概念 内容 何を示せるか
労働(labor) 生命維持のために必要な、循環する営み 何も残らない
仕事(work) 耐久性のある人工物を作る営み 物として残る
活動(action) 複数の人間の間で、言葉と行為を通じて行われる営み その人が誰であるか(who)

アーレントの核心は、「活動」においてのみ人は自分が何者であるかを他者に現すことができ、労働と仕事では「何ができるか(what)」しか示せないという点です。AとαとBを自分の中に持ちながら、それをD(企画)として公共の場に出さなければ、その人は「誰であるか」を世界に現す機会を永久に持たないことになります。ただしこれは「起業しなければならない」という意味ではありません。アーレントの「活動」の要件は規模ではなく、複数の人間の間で言葉と行為を通じて行われることです。小さな場を作ることも、書くことも、活動です。

今日から試せることは3つあります。1つ目は魔法のステッキに5分で答えることで、制限時間を設けます。考える時間があるとフィルタが働くため、「分身が3年間やってくれて、お金が無限で、誰も反対しないなら、何をするか」を5分で出せるだけ出します。2つ目はソウルセンテンスを一文で書くことで、動詞+対象で「誰に、何を、どうする」を書きます。説明が必要なら、まだ統合が足りません。3つ目は円環の6問目「その企画は、自分の痛みを生み出した環境をどう変えるか」に答えることです。ここが書けたら、その企画には必然性があります。書けなければ、Bの掘り下げかαの特定が足りていません。


6. よくある質問

魔法のステッキで出たことが、あまりに現実離れしています。

それでかまいません。むしろ成功です。次にやることは実現可能性の検討ではなく射影で、「その中で、いちばん大事な部分はどこですか」と問います。「世界中の子どもに教育を届ける」なら「いちばん大事なのは、どの部分ですか」と掘り下げ、「誰も自分をバカだと思わなくて済むこと」まで下りると、明日から始められるDが設計できます。

αが疑問文で出てきません。

「腹が立つこと」から逆算してください。怒りは、大切なものが侵害されたときに生じます。「何を見ると、他の人より強く反応してしまいますか」——その反応の裏に、「なぜ世界はこうなっているのか」という問いがあります。原則5の通り、日常の不満を10個並べるのも有効です。共通する型が、αの形をしています。

Bが特定できないまま、Dを作ってはいけませんか?

作ってかまいません。ただし、続かない可能性を知っておいてください。Bとつながっていない企画は、困難に直面したときに続ける理由がなく、「やらなくてもいい理由」がいくらでも見つかります。一方、Dを実際にやってみることでBが見えてくることもあります(原則4のプロトタイピングの発想)。順序は絶対ではありません。判定基準は、その企画をやっていて消耗するか、回復するかです。

「自分の痛みを商売にする」ようで、抵抗があります。

正当な感覚です。そして再演と能動的支配の区別が必要です。

再演 能動的支配
痛みを繰り返し体験する 痛みを構造として理解し、変換する
クライアントを通じて自分の痛みを扱う クライアントの痛みを、クライアントのものとして扱う
消耗する 回復する
未処理 処理済み

条件は、自分のBの処理が済んでいることです。原則5の「自分の谷底を通っていないコーチは、相手の谷底で怖くなる」と同じ構造です。痛みを商品にするのではなく、痛みから生まれた理解を提供している——この区別が保てていれば、抵抗は消えます。

Dが大きすぎて、動き出せません。

プロトタイピングの規模に落としてください。原則4のU理論では、上昇局面は「結晶化→プロトタイピング→実践」の順です。いきなり実践(Performing)の規模で考えているのが原因です。最小の形は「1人に、1回、やってみる」こと。原則6.5の通り、自己効力感の最強の源泉は遂行行動の達成です。小さくても、やり切った経験が次を作ります。

「その人でなければやる理由がない仕事」でないと、やってはいけませんか?

そんなことはありません。これは理想形であって条件ではありません。実際には、やっているうちに円環が閉じることのほうが多いのです。最初は「なんとなく興味がある」で始めたことが、続けるうちに自分のBとつながっていることに気づきます。円環が閉じていないことを問題視しないでください。「まだ見つかっていない」のと「存在しない」のは違います。

コーチ自身のA・α・B・Dは、必要ですか?

必要です。理由は2つあります。1つは原則1の情動伝染で、自分の構造が見えていないコーチが「あなたの構造を見ましょう」と言っても、状態が伴いません。もう1つは原則0のあり方で、この体系は最終回(原則21)で、参加者自身に「なぜここに来たのか。なぜコーチングをするのか。どんな痛みがあるのか」を問います。コーチングを教える体系が、コーチ自身に最終的なセッションを行う——この構造が、原則0への回帰です。


7. まとめ

  • αは疑問文、Aは宣言文、Dは実行可能な計画。αを飛ばすと、その人でなければならない理由が消える
  • 円環の6問目——「それは自分の痛みを生み出した環境をどう変えるか」——が決定的
  • 閉じたとき、企画は「良いことをしている」を超え、その人でなければやる理由がない仕事になる
  • 「自分のため」と「社会のため」の対立が消える。これがソーシャルイノベーションの意味
  • ソウルセンテンスは動詞+対象。名詞から入ると既存カテゴリに吸収される
  • 魔法のステッキは3つの制約を外す。最も重要なのは3つ目(対人関係)
  • 理論的裏づけは、ミラクル・クエスチョン、解釈レベル理論、制約は恐れを覆い隠す言い訳という3点
  • 心理的距離が遠いほど、人は望ましさの水準で考えられる(解釈レベル理論)
  • コーチ自身が前提を信じていないと、この問いは機能しない。必殺呼吸を先に作る
  • 出てきたものを評価しない。「他には?」で量を求める
  • αはBから生まれ、その人固有の専門性の源泉になる
  • アーレント:「活動」においてのみ、人は「誰であるか」を現す

8. 参考文献


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